「クラウドファンディング」に対して思うこと
最近よく聞くこの言葉。
私自身もこの仕組みを使って色々な団体や人に対して支援を行っている。
世界中がますます多様化し、このような素晴らしい取り組みが増えていることに
ついては喜ばしい限りだ。
ただ残念ながらそうした話題性のあるものこそよ~く注視する必要がある。
今日はクラウドファンディングの課題について話してみたい。
【目次】
クラウドファンディングとは
クラウドファンディング(Crowdfunding)とは「クラウド」(Crowd=群集)と「ファンディング」(Funding=資金調達)を組み合わせた造語。
アイデアやプロジェクトを掲げる起案者が専用のプラットフォーム(MakuakeやCampfire など)を通じて、世の中に呼びかけ共感した人から広く資金を集める方法のこと。
課題1:パクリ
人の企画や商品をパクってしまうリスクが挙げられる。
■参考
銀行の融資と比べると資金確保が容易なので、パクリだと分かっていても
ついつい手を出してしまう人もいるだろう。
パクリには主に3つの問題がある。
①クラウドファンディングそのものへの信頼低下
信頼が低下すれば当然支援金が集まらなくなり、プロジェクトを実行するための資金調達が難しくなる。
そうなると世の中のお金の流動性も低くなってしまう。
②経営者の破滅
クラウドファンディングでは世間に個人名や顔が晒されているケースが多いので、
問題発覚後も経営者本人に対する悪影響が長く続いてしまうリスクがある。
実際に下記の例を挙げた「令和納豆」の代表者はTwitterやFacebookを徹底的に調査された挙句、ネット上で吊し上げられる騒ぎにまで発展している。
③「パテント・トロール」による搾取
「パテント・トロール」とは、自らは研究開発や製品の製造・販売を行わないのに
第三者から特許を買い集め、その特許権を行使して他者からライセンス料や高額な
和解金を得ることを目的とする個人や団体のこと。
彼らに目をつけられたら一貫の終わりだ。
パクる方が悪いという議論があるかもしれないが、世の中には特許や商標などが星の数ほどある。
何が地雷原になるか分からないので注意が必要だ。
課題2:公約の設定ミス
次に公約の設定ミスについて。
果たしてこの設定ミスがどんな事態を招いてしまうのだろうか。
例えば「令和納豆」の生涯無料パスポートについてこんな記事がある。
■参考
令和納豆側は支援金1万円を払えば「令和納豆」の店舗で使える生涯無料パスポートがゲットできると謳っていた。
なぜ問題になったのかというと、このパスポートの利用者が店舗で食事をしたところ、突然店側からパスポートを没収されたからだ。
店側と利用者側の言い分が食い違っているので真意は定かではない。
どちらの言い分が正しいのかといった議論は他のメディアに委ねる。
問題の本質としては、
1、そもそも両者が対価として釣り合っていない。
2、経営者の契約(公約)に対する認識の甘さ
の2つに集約されるのではないだろうか。
1、そもそも両者が対価として釣り合っていない。
支援金1万円=生涯無料パスポート
本当にこれがイコールの関係なのだろうか。
1食500円としても20回行けば元が取れてしまうことになる。
仮に30歳の人が80歳まで生きるとして(かつ店舗が存続しているとして)
月1ペースで通い続けたらどうなるか。
12か月×50年×500円/1食=【30万円】
こうなる。
ではこのように対価として全く釣り合っていない場合にはどうなってしまうのだろうか。
店が泣くか利用者が泣くか、或いは両方か。
明確なのは誰もハッピーにはならないということだ。
2、経営者の契約(公約)に対する認識の甘さ
契約は契約。
「生涯」と言ったのであれば必ず実行しなければならない。
出来ないなら「生涯」なんて軽々しく書くべきではないだろう。
契約(公約)の内容に曖昧な記載が多い点も気になるところ。
課題3:マイナス方向への同調意識
カルタにせよ納豆にせよ、一度炎上すれば誹謗中傷や個人情報を晒し上げる
といった行為が正当化されてしまい収集がつかなくなる。
また人々の感情に訴えかけることで戦争や犯罪に加担するようなプロジェクトが
まかり通ってしまう可能性だってある。
最後に
ここまでネガティブな面ばかり述べてきたが基・本・的に「クラウドファンディング」は素晴らしい仕組みだ。
それは間違いない。
ただどんなに優れたものでも使い方によっては凶器にもなり得る。
世の中には今後も便利なツールが増え続けていくだろう。
そうした中で、むやみに飛びついたりせずリスクをきちんと理解した上で正しく活用していく。
こうした心がけが重要になってくるのではないだろうか。