布マスク(ガーゼタイプ)ってそもそも需要あるのか?



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2020年4月1日、日本政府が緊急対応策の一つとして「全世帯にガーゼ製の布マスクを2枚ずつ配布する」と発表した。

しかし個人的に「布マスク」という点がずっと引っかかっているので、今回は「布マスクの需要」について話してみたいと思う。

 

 

【目次】

 

布マスク、不織布マスクの1枚あたりの相場

 まず、両者の一般的な価格相場を比較してみる。

〇布マスク:400円~500円(平常時)

不織布マスク:20円~30円(平常時)

 

価格は平常時でも約10倍の開きがある

 

試しにAmazonでもみてみよう。

下記はAmazonで実際に販売されている布マスク(5枚入り)と不織布マスク(50枚入り)。

1セットの枚数が異なる点でやや比較しづらいがその辺りはご容赦いただきたい。

 

●布マスク50枚入り

Amazon.co.jp 限定 5枚セット】東京 西川 洗って使える マスク 5枚組 男女兼用 100回洗濯OK 繰り返し使える 伸縮素材でお顔にフィット 飛沫防止 耳が痛くなりにくい 日本製 ホワイト PG90009017W

価格:2,190円(2020/5/16現在)

 

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 出所:①アマゾン公式サイト「https://www.amazon.co.jp/」より
    ②表は「Keepa Amazon Price Tracker」を使用

    ※2020/5/16現在

 

価格は1枚あたり約400円

 

 

不織布マスク50枚入り 

Youmay マスク 使い捨てマスク 不織布 男女兼用 ホワイト 50枚入

価格:2,580円(2020/5/16現在)

 

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出所:①アマゾン公式サイト「https://www.amazon.co.jp/」より
   ②表は「Keepa Amazon Price Tracker」を使用

   ※2020/5/16現在

 

価格は1枚あたり約40円

 

価格変動のグラフから分かること

 

①布マスクはほとんど価格が変動していない。

不織布マスクは直近の約2週間だけでみても価格が大きく変動している。

 

①価格変動していないということはそもそも需要があまりないのではないか?

そもそも価格変動は「仕入れ値の変動」「在庫数」「売れ行き」といった要因から起こる。原料からし仕入れ値が全く変わらないことは考えにくい。

少しでも売れているなら在庫は変動するし欲しい人が増えれば価格は上がっていくはずだ。

(価格操作など外部からの介入や、別の要因があるのであれば話は別だが)

 

②海外(主にコロナ禍の収束した国)の生産工場の営業再開に加え、新たにマスク生産に乗り出す企業が増えたことにより供給量が増加傾向にあることからこうした理由から価格の変動が激しくなっているものと考えられる。 

 

マスクの素材別生産比率

残念ながら布マスクと不織布マスクの比率を示す直近のデータは見つからなかった
相当古いデータにはなるが、2007年に「日本衛生材料工業連合会」という団体が報告したレポートがある。
せっかくなのでこちらをみていくことにしよう。

 

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出所:日本衛生材料工業連合会「2007年度上半期 用途別マスク生産比率 2007年度上半期 家庭用マスク素材別生産比率」より(http://www.jhpia.or.jp/pdf/news60.pdf

 

ちなみに当時は、、
鳥インフルエンザSARS(サーズ)等の感染症が世界的に流行していたこと
②①によりマスクの需要が高まったこと
③マスクの明確な表示・広告内容の基準が無かったこと
、、といった事情からこのようなレポートが作成されていたようだ。

 

さて本題に戻るが、上の円グラフをみてほしい。


不織布:布(ガーゼタイプ)=98:2


2007年でさえ、圧倒的に不織布マスクの割合が大きいことが窺える。

理由は価格面や使い勝手などによるところが大きいかと思われるが生産量=需要と捉えるのであれば、この頃から既に不織布マスクの需要が群を抜いて高かったといえるのではないだろうか。

 

では現在はどうだろう。
街中を歩いていても布マスクを着けている人はほとんど見かけない。

先日の「新型コロナウイルス感染症対策本部」の動画をチェックしても、(首相や議員、記者ら合わせて合計50名前後というところ)布マスクをつけている人は首相を含め2~3人程度だ。

 

まとめ

情報が不十分である点を考慮しても、やはり布マスクは需要が全くないんじゃないかというのが筆者の見解だ。

 

◎疑問

①民意をきちんと汲み取れているのか。

②(一時の需要の高まりはあるかもしれないが)長期的にみて伸びないであろう市場に多額の資金をつぎ込む理由は何か。

などなど

 

疑問は尽きないが対応策としてはやはり不安が残る。

とはいえあまり波風立ててもしょうがないので、引き続き政府の動向を見守っていきたいと思う。

 

 

 

 

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